日本の労働市場では、高齢化や少子化の影響により、労働力不足が問題となっています。
労働力人口 推移 予測
出典:総務省|令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少より
生産年齢人口の減少 少子高齢化の進行により、我が国の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少しており、2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)に減少すると見込まれている(図表2-1-1-1)。生産年齢人口の減少により、労働力の不足、国内需要の減少による経済規模の縮小など様々な社会的・経済的課題の深刻化が懸念される。
出典:総務省|令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少より
外国人労働者の受け入れが増えた理由
そうした中、経済界から労働力の確保を政府に要請し、これを受けて政府は外国人労働者を積極的に受け入れるようになりました。
在留資格別外国人労働者数の推移
出典:厚生労働省 令和4年版厚生労働白書-社会保障を支える人材の確保より
急激に外国人労働者が、ここまで伸びたのは以下の事もあるかと考えます。
①産業の競争力強化となる。
外国人労働者の受け入れは、日本の企業にとって国際競争力を高める機会となります。特に、グローバルな視点や異なる文化や言語に対する理解を持つ外国人労働者は、日本企業が海外市場で展開する上で重要な役割を果たすことができます。
②技術や専門知識の補完のため。
外国人労働者は、日本国内では不足している特定の技術や専門知識を持つことがあります。彼らの経験やスキルを活用することで、日本企業は技術的な課題に対処したり、新たなビジネス領域に進出したりすることができます。
③国際交流と文化の多様性を高める。
外国人労働者の受け入れは、国際交流を促進し、日本社会の多様性を高める効果もあります。異なる文化や言語を持つ人々が共に働くことで、相互理解や相互学習が生まれ、国際的な視野を持つ人材の育成にもつながります。
④経済成長の促進となる。
外国人労働者の受け入れは、経済成長を促進する要素としても期待されています。彼らが消費や投資を行い、労働市場の活性化や新たなビジネスの創出に寄与することが期待されます。
以上のように、日本の国力を高めるためにも外国人労働者の存在は大きいと言えます。
結果、令和4年10月末現在で、外国人労働者数は約182万人で過去最高を更新しています。これからも外国人労働者は伸び続けていくでしょう。
その中でも、今回注目したいのは、「特定技能制度の2号」です。
特定技能制度とは?
特定技能制度は、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。2018年に可決・成立した改正出入国管理法により在留資格「特定技能」が創設され、2019年4月から受入れが可能となりました。
公益財団法人 国際人材協力機構
特定技能2号、9分野追加し受け入れ対象大幅拡大する
特定技能の詳しい制度説明は省略しますが、この特定技能制度において、2023年6月に政府は、長期的に労働力を確保するために、永住可能な在留資格となる「特定技能2号」の受け入れ対象を、拡大する方針を閣議決定しました。
この決定により、将来、受入れ企業と外国人労働者の両方にはさまざまなメリットとデメリットが出てくることでしょう。
特定技能2号拡大のメリットとデメリット
例えば、宿泊業分野のメリット:
受入れ企業にとっては、今後、インバウンド(訪日外国人旅行 / 訪日旅行)が増えていくことが予想されますので、その外国人旅行者対応において、異文化を理解していることや当該外国語のスキルがある外国人労働者は頼りになり、宿泊施設の運営やサービスの向上に貢献するでしょう。
外国人労働者にとっては、宿泊業界での就労機会が広がり、国際交流やキャリアの発展の機会が増えます。
一方デメリットは、受入れ企業とって、外国人労働者との言語や文化の違いによるコミュニケーションの困難さや、労働法や労働条件の遵守に関する問題が生じる可能性があります。
外国人労働者にとっては、労働環境の悪化や賃金の不適正な扱いといった労働条件の問題が生じる可能性があります。また、長時間労働や孤立感も懸念されます。
また、ビルクリーニング分野のメリットは、受入れ企業にとっては、外国人労働者の受け入れにより、労働力不足を解消し、清掃サービスの提供の継続性を確保できます。
外国人労働者とっては、就労機会が提供され、収入を得ることができます。また、言語スキルや清掃技術の向上など、スキルの習得とキャリアの発展の機会があります。
デメリットは、作業環境が厳しいため、労働者の安全や労働条件の確保が重要です。また、言語の壁や技術の習得に時間がかかる場合があります。
等々、一部の分野についての例ですが、他の分野においても類似のメリットとデメリットが存在しますが、外国人労働者の受け入れには、労働力不足の解消や経済成長への貢献などのメリットがある一方で、言語や文化の違い、労働条件の確保、教育・トレーニングの必要性などのデメリットも念頭に置かなければなりません。
双方にとって最大のメリットは?
とは言え、特定技能2号で最も注目する点、在留期間と家族滞在にあります。
特定技能1号の在留期間は上限があり5年までとなっていますが、2号は与えられた在留期間を更新していけば上限なく日本に在留することができます。
つまり、本人が希望し日本が認めれば日本に永住的にいることができるのです。
このことは、熟練外国人労働者を確保することができるので、受入れ企業にとっては大きなメリットとなります。
外国人労働者にとっても永く日本在留を希望するのであれば、特定技能2号はメリットになること間違いありません。
永住可能な在留資格「特定技能2号」の拡大は、受入れ企業・外国人労働者ともに大きなインパクトを与えるものとなります。
在留期間とは別に、特定技能2号は外国人労働者にとって大きなメリットがもう一つあります。
それは、要件を満たせば配偶者、子の家族帯同(滞在)が認められる点にあります。特定技能1号は認めれていません。この違いは大きいでしょう、日本でがんばって仕事をしたいと考える外国人労働者にとっては。
以上のことから、労働力の確保になる特定技能2号拡大のメリットとデメリットについて考えてみました。
特定技能は、即戦力の外国人労働者を受け入れる目的で2019年に開始し、2023年3月末時点で1号は約15万人で、2号は11人となっており、特定技能2号の拡大でどう変化していくのか注目です。
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